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一般漢方治療について

 漢方も元来は中国医学の一流派といえますが、江戸時代の「復古主義」という学問の流れに医学もさらされ、以後、中国後漢時代末期(紀元200年頃)にまとめられたと考えられている『傷寒雑病論』に大きく依存するようになりました。

 中国ではこの本よりもう少し早くまとめられたと考えられている『黄帝内経』を基礎的な理論の柱として、『傷寒雑病論』を初めとする数千年の医療経験に基づき集積されてきた医学が、現在の中国医学としてまとめられております。

 日中両医学の違いは多くの点で見られますが、中国医学が病気の原因(病因)を見極め、その結果体内でどのような変化(病理)が、どこで(病位)起こり、その結果としてどういう症状(病状)、脉・舌・腹診所見など(証候)があらわれ、どのような病気(病名)を引き起こすのかを順序立て分析(弁証べんしょう)し、それに基づいて薬、処方を選択する(施治せち)という方法を採るのに対し、原則的に日本漢方はこういった分析をせず、症状と主に腹診の所見から処方を決めています。当院の主軸は耳鼻咽喉科であることから口腔内、鼻腔内の粘膜診断は得意とするところでありますから、これらをよく観察し、日中漢方双方の知識を用いながら治療に当たらせていただいております。漢方の処方薬は本来の形では、せんじ薬や散剤(粉薬)、また丸薬(こね薬)という形で処方されますが当院では保険適応の治療という点からエキス剤という粉薬の形で処方させて頂きます。

 なされた処方が正しい処方であれば1~2週毎の診察で自覚症状や脈・舌などの所見は必ず変化してきます。従ってその変化に応じて、使うエキス剤を替えていく必要があります。当然同じ処方を効果もないのに数ヶ月続けて使うなどということは決して無いことなのです。

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中国などでつくられている薬について

 多くの薬がガンに効くという名目で輸入され販売されています。個人輸入という手段を経て使われているものも有り、中には非常に高価なものもあります。一般に中国で作られている薬は、その中身がパテント問題とも絡み、完全に正しく詳記されていることは無いといって良いでしょう。以前、糖尿病に有効な漢方薬ということで評判になった薬が、実は西洋薬の経口糖尿病薬を危険な量も含んでいて、マスコミをにぎわしたことがありました。
そもそも中国医学の治療の大原則に「因人因地」という言葉があります。これは患者さんの居住している土地の気候などの自然環境と、個人の食事を含めた生活習慣に配慮して診断治療しなければならない、という意味です。中国人に合う薬が必ずしも日本人には合わないのです。中国に治療のためのツアーを組んで行かれるという話を聞きますが、現地で生活し、そこの食事を食べ、そこの土地の患者を診ることになれている医師の診察治療を受けている間は、薬が効くことも多いと思います。ところがその効いた薬を日本に持ち帰って、しかも数ヶ月も同じものを続けて服用するような条件では、まずだんだんと効かなくなると思います。同じことは、中国の名医がちょっと日本に来たついでに、日本人を診察して処方箋を書くという事態も良く見聞きしますが、果たして効くものでしょうか?
 かつて東京都の病院に勤務していた頃、私の指導のため、北京市より派遣され来日した8人の中医氏達の多くが、初めの数週間、日本人の患者を治すことができませんでした。もちろんその後、自分自身が東京の気候、一般の日本人の食習慣に触れ、北京との違いを理解してからは、十分に治療効果を上げることができました。このように因人因地という原則は重要なことなのです。
 漢方薬は必ず患者さんの状態を診断した上で、状態の変化に応じてこまめに処方を替えていくということの必要性を繰り返し述べてきましたが、この点からしても、出来合いの誰にでも使える薬のいい加減さが明らかでしょう。
 しかもその中身が完全に明らかにされていないものを使うことの危険性を、皆さんにしっかりとお考えになって欲しいと思います。

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健康食品などの免疫力を、つよくするといわれているものについて

 アガリクス、姫茸、霊芝などのキノコ類、サメの軟骨、プロポリス等々、実に多くのものが、ガンを初めとする種々の病気に効くと宣伝され、当院を受診される患者様も親族知人に勧められるなどして、多くの方が使われておられるようです。

 こういった食品類が免疫力を向上させると喧伝されておりますが、誰にでもどのよう状態にでも効くサプリメントや健康食品というものは非常にまれであると考えられます。基本的に免疫力というものは個人個人、個別に対応しなければ(特に精神面では)強くできないものと考えられます。そういった意味から種々のワクチンなどを含め、医薬品として認可されているものを含め、せいぜい数種類のものを組み合わせた程度のもので、全てのガン、全ての患者様に対応するようなことは非常に困難です。

 従って、これらの免疫力を増強するといわれているものを使いたいといわれる患者様には、「まず生活リズムを整えること。そして良い水の飲み方をして、良い食事をちゃんと食べること。」、その上で漢方薬や自分にあっていると思われるサプリメントを考えてみましょう、というのが当院の考え方です。

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